命を洗濯するなら出雲へ

蘇生の神々が鎮座する出雲大社

黄泉比良坂があるクニ出雲は、冥界につながる場所がゆえ、蘇生の神が鎮座する。数々の試練にさらされた盟主オオクニヌシも、その力により甦りに成功した。ゆえ、この神は出雲大社の本殿瑞垣内に祀られる。

出雲大社

神の名は、伊能知比賣。古事記には、キサガイヒメ・ウムガイヒメと記され、オオクニヌシが八十神に殺された時、母神の願により派遣された。

その蘇生方法は、キサガイヒメがきさげ集め、ウムガイヒメが待ち受けて母の乳汁を塗るというもの。オオクニヌシに関係が深い神で医薬の神ともされるスクナビコナも、この神の前では影が薄い。ちなみにスクナビコナは、出雲大社の東隣にある北島国造家の天神社に、ひっそりと祀られている。

ところで、その北島国造家の外れに、特別な場所がある。頭上に椋の大木が枝を張るそこは、1665年の出雲大社御造営時、銅戈と勾玉が発見された。現在では命主社と呼ばれる神社となっているが、そこに祀られる神こそが、キサガイヒメとウムガイヒメを派遣した造化三神の一。神々の上に立つ神産巣日神である。

出雲大社

神産巣日神は、謎の多い神である。世界のはじまりにおいて、ひとりでに現れた3神の末。これといった神話はないが、出雲では神魂(かもす)と呼ばれて畏れられている。すでに身を隠した神で、その姿を拝むことはできない。

しかし、出雲へ行けば分かる。この神こそが、時空を支配しているのだ。高天原から追放されたスサノオは英雄となり、アマテラスに屈したオオクニヌシは神々の盟主となった。これも、見えない神産巣日の力が作用するからであり、たとえ冥界に陥ろうとも、出雲という場所に甦る。

出雲は、命を洗濯するための、最後の聖域なのである。


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出雲大社の神宝・糸魚川のヒスイ

出雲大社出雲は青メノウの産地として知られているが、出雲大社の宝物殿の勾玉は、糸魚川産であることが分かっている。命主社の立つ場所に、特別な霊力が宿るものとして安置されていた。近年までその原産地を特定することは出来なかったが、昭和のはじめ、古事記や万葉集の記述をもとに糸魚川に良質なヒスイの原産地があることが分かった。古事記には、大国主が高志の國のヒスイの女神・沼河比賣に会いに行く話が、歌物語として綴られている。

▶ 糸魚川ヒスイの勾玉

竹野屋旅館
出雲大社正門近くの本格的和風旅館は、シンガーソングライター竹内まりやの生家としても知られる。大黒様の夜の顔も朝の顔も拝める旅館。