日前神宮・國懸神宮(和歌山県和歌山市)

日前神宮・國懸神宮(ひのくまじんぐう・くにかかすじんぐう)DATA

【御祭神】日前神宮:日前大神(ひのくまのおおかみ)・國懸神宮:國懸大神(くにかかすのおおかみ)

【別称】日前宮(にちぜんぐう)・名草宮・日前國懸社・紀伊大神

【社格等】延喜式内社(名神大社)・官幣大社(明治四年)・単立神社・紀伊国一宮

【創建】神武天皇2年

【主な祭典】例大祭 (9月26日)

【摂末社】天道根神社(天道根命)・中言社(名草姫命・名草彦命)・深草神社(野槌神)・邦安神社(松平頼雄命)・市戎神社(蛭子神)・松尾神社(大山咋神・中津島姫命)

【見どころ】大正15年3月に全て一新された建造物

【場所】和歌山県和歌山市秋月

八咫鏡とともに造られた鏡を祀る両宮からなる紀伊国一宮

日前神宮の御祭神は、「日像鏡(ひがたのかがみ)」を御神体とする日前大神。相殿には、思兼命(おもいかねのみこと)・石凝姥命(いしこりどめのみこと)が祀られている。國懸神宮の御祭神は、「日矛鏡(ひぼこのかがみ)」を御神体とする國懸大神。相殿には、玉祖命(たまのやのみこと)・明立天御影命(あけたつあめのみかげのみこと)・鈿女命(うづめのみこと)が祀られている。
日本書紀の神代の「天岩戸」の件、一書に下記のようにある。

高皇産霊のみこ思兼神といふ者有り。思慮の智有り。すなわち思ひて白して曰さく「彼の神の像を図し造りて、招禱き奉らむ」とまうす。故、即ち石凝姥を以て冶工として、天香山の金を採りて、日矛を作らしむ。また真名鹿の皮を全剥ぎて、天羽鞴に作る。これを用て造り奉る神は、これ即ち紀伊国にまします日前神なり。

また、古語拾遺の「日神の出現」の件には、

思兼神の議に従ひて、石凝姥神をして日の像の鏡を鋳しむ。はじめに鋳たるは、いささかに意に合はず。これ、紀伊国の日前神なり。つぎに鋳たるは、そのかたち美麗し。これ、伊勢大神なり。

とあり、日前神宮に祀られる鏡は、三種の神器である八咫鏡と同笵であることが窺われる。

創建は、神武天皇2年。紀国造家の祖神である天道根命(あめのみちねのみこと)が、八咫鏡に先立って鋳造された日像鏡・日矛鏡を賜り、それぞれに祀ったのがはじまりと伝わる。元は現在の浜宮神社の場所にあったが、垂仁天皇16年に現在地に遷座した。
伊勢神宮とともに神階を贈らない別格の社として、朝廷から深く尊崇されており、八神郡のひとつとして紀伊国名草を所領していた。羽柴秀吉の紀州攻めで焼失したが、紀州藩主徳川頼宣によって再興された。

⇒ 日前神宮・國懸神宮ホームページ
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